「クレジットカードの審査より厳しい」
「こんな面倒くさいならペットショップで買うからいいよ」
最近保護猫譲渡の条件について、色々なご意見を目にしたりします。
僕の妻も、有志の方々と一緒に保護猫ボランティア的なものをやっております。彼女たちは、どんな条件を提示しているのだろう? と疑問に思ったことがありました。訊いてみると…
「私個人は、そんな完璧を求めてないんだけどねえ」
と、なんとも煮え切らないことを言っています。多分彼女が一緒に活動する集団の中でも見解の相違があったりするのでしょうか。
ここは細かくつっこむのは野暮だな、と気づいた僕は少し調べてみることにしたのです。
結論から申し上げると、保護猫をひきとるにあたっては、実に様々な条件があることがわかりました。なんとなく2匹の猫たちと暮らしている僕からすると「そこまでするの?」と思ったり「まあ、当然よね」と思ったりするようなものまで、色々です。
猫素人の僕でも理解できる条件と除外条件
かれこれ猫たちと10年近く暮らしてはおりますが、細かいことは(正直に申し上げて)妻任せな部分がほとんどです。
- 猫を飼ったことがない方よりは、少しばかり猫との生活を知っている。
- でも猫についてのプロフェッショナルではない。
今回の記事はそんな素人に毛が生えたような人間(僕)が、「そりゃそうだわ」と納得した条件について書かせていただきます。
が、ここでひとつ。
色々な保護猫団体さんのサイトを見ていたのですが、こんな条件を見つけました。
「飼うのが難しくなってしまったケースなど、代わりに引き取ってくれる方がいる事」
そう、つまり猫の連帯保証人です。
ちょっとこの条件強すぎです。そりゃそういう恵まれた保証人を見つけられれば良いに越したことはないのですが、
「実家の母が猫飼ってまして、いざというときは、そこで一緒に飼ってもらえます」
なんて状況は限定されそうですし、何か問題があったら全部「連帯保証人に任せますのでノープロブレムです」となりそうです。
ですので、ここで考えるのはあくまで「連帯保証人なし」で、猫を迎えるパターンを基準にしてみます。
条件① 安定した収入があるかどうか
これはまあ「そりゃそうでしょ」と思いました。
猫の前に自分の衣食住にもままならないようだと、なかなか苦労が多そうです。昔の人はうまいこと言ったもので、「衣食足りて礼節を知る」これもある意味真理です。
ただですね。莫大な収入とかそういうのは必要ありません。なんやかんや猫と生活すると費用はかかるにせよ、平均年収以下でも大丈夫だと思います。
「急病で大金かかったらどうするの?」と思われる方もいらっしゃるかも知れません。
もうそういう場合は、最悪ローンに頼ることにしましょう。これは保険外診療に頼らざるを得なかった人間も同じだと思いますので…
僕自身も自慢出来るような収入は決してございません。ただ、我が家の猫たちに生死関わるような事態が発生したら、工面する覚悟はあります。
→ 素人に毛が生えた僕の意見
前提としてはもちろんな条件。ただお金持ちでなくてもいいよ。いざっていうときには借金してでも治療する覚悟を持ってね。
条件② 猫を適切に病院につれていけるかどうか
世の中「適切」って単語は、かなり主観的に使われることが多かったりしますが、ここで言う適切は『体調不良』だけでなく、『定期健診』も含めてのことと解釈します。
まあ体調不良で大変だ、という時に猫を病院に連れていかないような人は論外です。ですので、定期健診にちゃんと連れていける? って聞かれているものだとお考え下さい。
連れて行くほうの人間にとっても、連れていかれるほうの猫にとっても、通院というのはかなりのストレスに間違いありません。ついつい、後回しにしたい気持ちもわかります。これですね、人間にとっての歯医者のようだとご理解いただければ良いかと思います。
「いかなきゃなあ、そろそろいかなきゃなあ」と思いつつも、ついつい後回しにしたくなるのが歯医者です。ところがですね、すぐに行かないと大抵病状が悪化してます。早いほうがいいんです。
猫についての定期健診も一緒です。
後に伸ばしておくと、小さな病気が取返しのつかない状態になったりしそうです。そうなるとですね。治療費も倍々ゲームで高くつきます。結局「もっと早く連れて行けば良かった」になりますので、定期的に病院で見て貰うのは、人間と猫、双方にとってやっておいた方がよいことです。
→ 素人に毛が生えた僕の意見
長い目で見ると、双方にメリットがあります。面倒臭がらずにやっておいた方が良い条件です。
条件③ 同居の家族に同意が得られているか、住居の許可は得られているか
これも『言うまでもない』条件だと思いました。
自分以外の家族が病的な猫嫌いだったりすると、最悪人間関係までこじれそうです。
人の好みなんてそれぞれですから、猫のことを嫌いな人だって当たり前にいます。ですのでこちらについてはクリアしておくべきでしょう。
また「小動物だろうとなんだろうとペットは不可」という共同住宅にお住まいの方も、引っ越し含めて検討すべきだと思います。こっそり飼える動物かというと、「出来そうで出来ない生き物」だと僕は思っております。
- 意外と鳴き声が大きい。
- 走り回る物音も結構すごい。
などの特徴がありますので、秘密裡にしておくのは困難です。
唯一、家族の方の問題の場合は解決するチャンスがないわけではありません。
どの団体さんもトライアルとして「一時的に飼ってみる」ことはさせてくれます。その機会を利用すると、十分に挽回のチャンスはあります。
『動物嫌い』『猫嫌い』だったはずの人間が、一度抱っこしただけで豹変するケースは何度も見てまいりました。
人間に愛されることに特化した、猫の潜在能力にかけてみるのもひとつです。
→ 素人に毛が生えた僕の意見
言うまでもない条件。ただし反対するご家族がいらっしゃったとしても、一度トライアルしてみると180度態度が変わることもあるので、チャレンジしてみては? 猫という生き物はそれくらい魔性の生き物です。
条件④ 完全室内飼いをすること。
ひと昔前だと、内外自由に猫を飼われている方が主流だったと思いますが、今は完全室内で飼育することを条件にされることがほとんどです。
少なくとも車の往来があるような地域では、僕も完全室内飼いの方が良いと考えています。賢そうに見えるときもたまにあります。が、基本的に野生というものを時代の向こうに置いてきた生き物です。国道や幹線道路に平気で飛び出す猫も実際にいます。
また多頭飼いをされる方であれば、なおさら室内で飼われたほうが良いでしょう。
人間と同じなんです。外から変な病原菌をもらってきて、接触して家庭内パンデミックになるくらいなら、接触そのものを遮断したほうが良いです。
更に申し上げれば、彼らに「ハンターの血が流れている」ことも忘れてはいけません。野生の勘的なものはすっかりどこかに置いてきた猫たちも多くいますが、余計なことにこの「ハンター気質」はどの猫もしっかりと受け継いでいます。
内外自由な状態で猫を飼っていた知人の話を紹介します。
彼の家の猫は、
「半壊したけどまだ生きているセミを枕元に見せびらかしにもってくる」
という恐ろしい習慣を持っていたそうです。
毎朝凄惨な光景の中で目覚めることに嫌気がさし、とうとう完全室内飼いにシフトした、と言っていました。
こういった事態を避けるためにも、完全室内飼いをするべきだと思います。
→ 素人に毛が生えた僕の意見
広大な敷地があって、野生動物やらなんやらと接触しない個人の庭園なんかをお持ちの大富豪の方、またはそういった地域にお住まいの方であれば、別に良いとは思います。
現実的に、車が通る→危ない。他の動物と接触→感染症もらっちゃう。などのリスクを考えるとこれも守ったほうが良い条件です。
条件⑤ 脱走防止策を講じること
猫の身体能力を舐めてはいけません。
鼻先が入る隙間なら、問題なく通り抜けますし、足をひっかけることが可能な柵であればスパイダーマンのような形態で登っていきます。ドアノブを回してしまう猫までいるそうです。
我が家のアメショーは比較的のんびりしたタイプだと思っておりましたが、網戸にヘッドバットを繰りかえし、サッシとの隙間を作ることに成功しました。そのまま冒険の旅に出かけようとしたところを運よく捕まえたので事なきを得ましたが、意外な手段で自分の行動範囲を広げようとします。
ですので、この条件なんですが「猫を飼ったことがない人が自分で脱走防止策を講じる」のではなく、猫を飼った人たちの経験をもとに何かしら工夫をするのが良いと思います。
→ 素人に毛が生えた僕の意見
猫未経験の方であれば、想像以上の彼らの好奇心・冒険心に考慮して、脱走防止については慎重に考える方がよいでしょう。
猫を迎える条件で納得出来たもの
色々なサイトを読み漁ったり、妻からもらったパンフレットを読んだりして、素人に毛が生えたような僕が納得できた条件について書いてみました。
今現在、猫を飼おうと検討している方々の参考になれば幸いです。
ご紹介させていただきました5点ですが、お気づきの方いらっしゃいますでしょうか? これ人間の赤ちゃんを迎えるのとほとんど変わりません。
■ 安定した収入があるかどうか
→ 無収入の状態で赤ちゃんを授かっても色々困ることが多そうです。
■ 適切に病院につれていけるかどうか
→ 当然のことです。これ放置して万が一があると逮捕案件です。
■ 同居の家族に同意が得られているか、住居の許可は得られているか
→ 乳児入居不可、なんて物件があるのかどうかわかりませんが、解決すべきです。
■ 完全室内飼いをすること
→ 外で赤ちゃんを育てる人は、ほぼいないんじゃないかと…
■ 脱走防止策を講じること
→ ベットガードと一緒ですね。転がり落ちないようにしないと。
ペットを飼うという感覚よりも「もし自分のところに子供が産まれたら?」を想像して、これら条件の必要性をご理解いただければ、と思います。
そうです、どんなペットでもそうなんですが「新しい家族を迎える」という感覚で申し上げれば、これらの条件は大切なことだといえるでしょう。
様々な条件が、色々な団体さんで設定されています。その中でも今回は「うん、確かにそうだ」と、僕が100%納得出来るものをご紹介させていただきました。
実はですね、こういった解説をしたくてこの記事を書いたわけではありません。今回は「100%納得できる保護猫譲渡の条件」について書きましたが、次回は「100%は理解出来ない保護猫譲渡の条件」について書かせていただきます。
「どうやったら不幸な猫たちを減らせるか」がテーマだったんですが、こんな記事になりました…。おかしいなあ‥‥。
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