猫を飼われている皆様、ご経験があると思うのですが、猫たちの『おもちゃ』について悩まれたことはないでしょうか。
ただでさえ気ままな生き物ですし、こちらの思う通りにはならない事が美学だと思ってる節もあります。実際、買い与えたものに満足してくれることがほとんどない、と言うのが我が家の実績でした。
ペットショップで勧めていただいたおもちゃは「ひとしきり匂いを嗅いで終了」となりましたし、電池で動く虫を模したおもちゃは、猫パンチ一撃でただの虫型プラスチックとなり果てました。
思い出深いのは、天井に据え付けて動かす飛行機型のおもちゃです。猫用ではなくて子供用のおもちゃだったのですが、設置1時間以内に『ネコ・ジャンピング・ダンク』とでも申し上げましょうか、とにかく跳躍して叩き落とされて動かなくなりました。
そんな猫たちがですね、食いついて夢中になったおもちゃ(と呼べるかどうか…)が3つほどありました。今回の記事はそちらをご紹介いたします。
ラッピングタイ
これですね「ラッピングタイって何だ?」と思われるかも知れませんが、あれです。よくお菓子の袋の口を止めるあの針金が入った「ネジネジしたやつ」のことです。下の写真をご覧ください。
他にも色んな呼び方があるみたいなんですが、我が家では『ネジネジ』と呼ばれておりました。
「え? こんなもの好きなの?」と気づいたのは、お菓子か何かを買ってきてテーブルの上に置きっぱなしにしていた時のことです。
アメショーがその袋を執拗にガジガジと噛みつきだしたのです。最初は「お菓子食べたいのかな?」と思っていたのですが、よく見ると彼が親の仇のように噛みついているものは、袋ではなくこのラッピングタイでした。
もしかしたらこのキラキラした外観に惹きつけられているのかも知れません。試しにそれを手に取って、テーブルの向こうに投げてみました。
アメショーはロケットのように空中ダイブをして、ラッピングタイに食いつきました。
そして、床の上にペロっと置いて、手で弾く→追いかける。また手で弾く→追いかける。この行動を繰りかえしつづけます。
「何が面白いんだ?」
と思いましたが、かなり気にいったようです。
ヘアゴム(髪を結ぶための黒いゴム)
主に女性が使っている、極めて普通のあの黒いゴムです。
ある日アメショーが、何かを前足で弾いて、それを追いかけて捕まえるのを目撃しました。ラッピングタイの時と同様の動作だったので、それかな? と思っていたのですが、少し様相が違います。
追いかけて捕まえた後、引き裂くことを目的とした動作のように、『噛みつきながら、前足で対象をひっぱる』ことに夢中になっています。当然猫の力であのゴムを引き裂くことは出来ません。手元から外れて、床に落ちます。
アメショーは再度それを前足で弾くと、追いかけて行き、そしてまた口にくわえて、引き裂くような動作をしておりました。それを何度か繰り返しているのを確認していたところ、妻から声がかかります。
「ねえ、洗面台に置いておいたヘアゴム知らない?」
さっきから猫が夢中で遊んでいた対象を「ああ、それか」と気づいた僕は、一心不乱に遊びつづけているアメショーから断腸の思いで取り上げます。恨めしそうに僕を見る彼に心の中で謝りながら「あ、落ちてたよ」と妻に渡しました。
「なんでこれ、こんなベチャベチャしてんの?」と訝しがる妻に説明すべきか悩みましたが、説明するよりも先に、彼女はそれを使って自分の髪を縛ったところでした。
猫がさっきから噛みついたり咥えたりしたせいでべちゃべちゃで、べちゃべちゃの正体はアメショーのヨダレだよ、と伝えました。
「はあ? 洗面台に置いてたから、濡れちゃったんだと思ってたのに、それ早く言ってよ」と自分の指先の匂いを嗅いでおります。「ああなんか臭い、ねえ、なんでそれ先に説明してくれないの?」と明らかに機嫌を害した妻から、理不尽なお叱りを頂戴することとなりました。
どんぐり
そうです。あの『どんぐり』です。
もちろん猫の為に持ち帰ったわけではなく、幼稚園児だった息子が遠足か何かで集めてきたものです。確か、工作に使うか何かの用途でした。
内部に虫がいたら困りますので、電子レンジで一定時間温めました。それを、テーブルの上のトレイに置いたはずだったのですが…
少し目を放した隙に、猫の手によって15個ほどのどんぐりが全て床に散乱しておりました。またそれだけでなく、その散乱したどんぐりの中を、極度の興奮状態のアメショーが飛び跳ねております。
凄い興奮してるなあ、と思って観察しているとですね、やはり今までのケースと基本的な動作は同じなんです。
- 前足でどんぐりを「ひょい」っとはたく。
- ころころと不規則に転がるどんぐりに向かってダッシュする。
この動作を延々と繰り返してます。今までのケースとちがうのは、十数個のどんぐりが存在しているということです。暴れるかのような動きのアメショー。その後ろ脚にぶつかったりして、他のどんぐりまで不規則に散らばります。その動きに釣られて、標的を変えた猫が華麗なステップを見せます。頭に浮かんだタイトルは「歓喜の踊り」でした。これ冗談じゃなくて、本当にそんな感じだったんです。
不規則な動きをするこの木の実を、飽きもせずに追いかけては弾く、その一連の動きに、少しだけ野生を感じたりもしました。
猫たちを夢中にさせたもの
こちら、アメショーが夢中になった遊び道具(道具でもないですが)を3つほど記載いたしました。
「ラッピングタイ」「ヘアゴム」「どんぐり」といずれも、「猫の為のおもちゃ」ではありません。日常生活の中に存在する極々一般的なものばかりです。共通点としては「不規則に転がるもの」といったところでしょうか。
つまりですね、僕のような素人からすると『割高感』のある、猫用おもちゃをわざわざ買うことはないなあ、というのもひとつの結論だったりします。
ただの段ボールだったり、ただのゴムだったり、木の実だったりが、彼らにとっては最適な遊び道具となりえるのです。
1点、これらのアイテムには注意が必要です。
どれもサイズが小さい為、くれぐれも誤飲には気をつける必要があるでしょう。ですので、我が家では人間が監視している状況で、飲みこみそうならすぐに対処できる場合のみ、これらで遊ばせることにしています。
もちろん猫にも個性がありますし、個体差もかなりのものです。例えば黒猫の場合「おもちゃがなんであれ、人間と遊ぶのが大好き」だったりしますので、道具の種類は問わなかったりします。
また、個人的な感覚で恐縮ですが『夢中になって遊んでいる猫』を見るのは、何か楽しくもあります。
当時、状況も何もわかっていない幼児だった息子も、アメショーがどんぐりに向かってジャンプを繰りかえす様子を食い入るように眺めたりしていました。
最近何かに夢中になったかなあ、思い出せないなあ、という飼い主の僕ですが、彼らのそんな様子を眺めるのは大好きです。
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